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同世代シニアの歌唱指導における介護施設と、一般グループの先生の役割の差

音楽療法という言葉を聞いたことがある方は多いのではないかと思います。
古くは、旧約聖書に記された王の病を治す ダビデの竪琴に始まります。
たまに、音楽療法的な視点との差異を記事していってみようかと思っていて、
今回はその1つめの記事です。

合唱団で童謡や唱歌を歌う事と、
老人ホームで童謡や唱歌を歌う事のいい所は、
童謡や唱歌を楽しむ事!かもしれませんが、

目的はまったく変わっていきます。

老人ホームで童謡や唱歌を歌う事の目的は、療法的な目的を持つことが必須です。
もちろん、声を出す事で、脳に刺激がいったり、心肺機能を使うという側面もあります

例えば、、
介護施設で行われる歌唱指導はこんな感じが多いと思います

・歌詞から思い出せる何かを思い出すような会話をしたり、
・手先を使い、

・リズムに合わせるといった動きを行う


などに指導の主軸を置きます。

こうする事で、脳の機能がよくなります
半身不随の方の半身を動くようにリハビリする事が効果があるのと似ていますが、
この先生の場合は、特に音楽療法士として実施していると思うので、
そういった目的を明確に考えて実施しているはずです。

ただ、別に脳の機能に異常のない人にはできて当たり前のことです。
指遊びの 鳩ができるかできないかに似ています

療とはそもそも「病気をなおす。いやす」という意味があるので、
何を癒すのか、何の病気治すのかの目的を持つことが何よりも大切です。

このあたり、病気に薬が効くとしても、予防に薬を使ってはいけないという原理に似ています。
逆に言えば、癒す事がない対象に、癒しを与えても効果は発揮しないという事になります。

コロナが始まった頃、老人ホームや、私たちと一緒に歌っていたけど、

老人ホームに入所した方を対象に始めた私のチャンネル内の動画シリーズの最初の動画です。


ただし、施設として表示されるのではなく、
あくまでも、老人ホームにいて自分で自分のスマホによって、私のチャンネルを見る事ができる人を対象にして撮影し、いつも話しかけていた様に話しをする動画と、楽譜も文字もみなくても知っているであろう歌を歌うという構成です。

これが、もし老人ホームの施設の全員に見てもらう動画であったとしたら、
会話の内容は、ひな祭りのお菓子を思い出してもらったり、
その場に用意してもらったり・・といった事や、
ご自身の結婚式の思い出を思い出してもらったり、
昔、お酒を始めて飲んだ時の記憶を思い出すような会話をしたり、、という
方向の会話の動画にしていたと思います。


フェリーチェの合唱練習では、療法ではなく、歌唱のための身体機能の”維持”や、
発声や音楽技術の向上を目的として、童謡や。唱歌も歌います。

前述の先生と同じような練習をすることもあるかもしれませんが、それは音楽訓練上リトミックとしてチャレンジしたい目的を持っているのであって、療法として実施するのではありませんので、もっと難しくするかもしれません。

なぜなら、介護が必要のない方々、つまり健常者を対象にした指導を行っているからです。

老人ホームで私が指導する際は、前述の先生の指導方法に近い指導を行います。
公民館講座の場合は、半々での実施を行う事が多いです。

逆な言い方をすれば、目的が違うだけで、やってる事が同じであれば、
当然それは予防にもつながるので、グループによって方向性を少しづつ変えていきます。